【プラスチックの歴史】完全な人工プラスチック
【History of plastic】 Complete artificial plastic

盆手前のなつめ(抹茶の容器)


 2007年のオルガテクノでは併催で「プラスチック100年」が開催されました。
なぜこの年が100周年なのか疑問に思われたり、中には「違うよ」と仰る方もありますので、その理由を書きたいと思います。

 19世紀末にベロックスという印画紙の特許をコダックに譲渡したベークランドでしたが、その後の研究でついに完全な人工プラスチックの合成に成功します。フェノール樹脂―商標名「ベークライト」の誕生でした。その特許が申請された年が1907年だったので、それから100年目ということで開催されたのです。何が世界初かを言いたいのではなく、流れとして捉えて戴ければと思います。

 そのベークライトの優れた電気絶縁性はまず自動車など工業製品の絶縁体として使われました。

その後、電話、ラジオ(キャビネット)、自動車(ダッシュボード)、灰皿、カメラなど、絶縁体だけではなく、木目加工され一般的な製品に多用される素材になりました。
 とは言え、1910年代はまだ現在とは比べ物にならない生産量でしたが、 新たなプラスチックである塩化ビニル(PVC)の生産や、最初のプラスチック包装材料であるセロハンが発明される進歩がありました。
日本では、1911年(明治44年)に、べークランドの親友であった高峰譲吉博士が品川の工場で、ベークライトの試作を始めました。

 今でも新幹線(JR東海)では電光掲示板にベークライトの広告を見ることがあります。

私の子どもの頃には、もう様々な種類のプラスチックが存在しましたが、祖母の姉がよく「ベークライトの・・・」と、プラスチックの代名詞のように使っていたことを覚えています。それほど当時の人にとっては画期的な素材であったに違いありません。
 同様にビニル(ビニール)も、いまだに、新聞記事にポリ袋(ポリエチレン製)やレジ袋の代名詞として使われているのを見掛けます。歴史的な経緯は理解できますが、間違った知識を広めてしまうことは、なんとかしなければいけないと感じています。


豆知識
プラスチックには
 チョコレートタイプ(熱可塑性樹脂)
 ビスケットタイプ(熱硬化性樹脂)
の熱に対する物性から見た2種があり、
ベークライトはビスケットタイプのプラスチックです。









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