"Celluloid Butterfly"  もしもプラスチックがなかったら

 プラスチックとは、日本語で合成樹脂のことを言います。いつ発明されたのかというと、観方によって違いますが、19世紀後半以降に誕生したセルロイドベークライトが初期のプラスチックだと言われています。今では身の回りからプラスチックを取り除くことは不可能なほどありとあらゆるものに利用されています。ではプラスチックが誕生する前には何を使っていたのかと考えてみると、琥珀べっ甲象牙など動物の角、砥石など天然の素材が使われていました。


セルロイドハウスから戴いた "Celluloid Butterfly"  


 たとえばボタン。祖父の友人にボタンを製造している人がいました。貝で出来たボタンで、それをパーツに敷き詰めたポーチなどを試作したものを貰ったのを覚えています。今貝ボタンは高価ですよね。生態系のバランスを失う獲り方をすると天然資源が損なわれます。子どもの頃と違って貝殻採集をしても昔ほど色んな種類が集まらないのは、海岸線も人工的に開発されていることもあって、ボタンのせいだけではありませんが、生態系が変わってしまっているのも確かだと思います。昔も流通など別の理由で天然素材のボタンは高価で、地域によっては紐がボタンの代わりでした。例えばポリエステルはポリエチレンを製糸したものですから、絹や綿や羊毛のことを考えると生地もしかり。多彩なファッションが安価に一般でも楽しめるようになったのはプラスチックのお陰だと思います。ですから、プラスチックが自然環境を壊すと槍玉に上がることがありますが、新しい発明品が乱獲を防ぐこともあるという視点もあります。海洋や河川に投棄されたプラスチック廃棄物によって命を脅かされる動植物に目をやれば、批判する人達の気持ちも理解できないでもありませんが、エンプラや医療に使われるプラスチックもあって生活が豊かになっていることも、いろんな観点から考えて賢い使い方をしていかなければいけないと思います。


Plastics Historical Society
http://www.plastiquarian.com/


セルロイド参考図書
http://www.celluloidhouse.com/list.htm

追記
根岸英一・米パデュー大特別教授が毎日新聞のインタビューで「人工的な光合成を実現したい」と語られたそうですが、CO
削減という方向だけでなく、逆に植物のように活用するという視点は科学のあるべき姿だと思いました。

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