Apr 29, 2010

いつもとは違う自然

関口和男さん撮影
 東京江戸川区の知り合いから「見たことの無い蝶」という件名のメールで庭先に止まっていた珍しい蝶の画像が送られてきました。調べてみるとジャコウアゲハです。
他にも愛知県で3月末から今まで一月間鴬が鳴きづめだとも聞きました。
私の住む大正区の区の花はツツジで、モクレン>桜>ツツジと毎年春の花が移り変わるのを見ているのに、韓国では、縦断するので季節の移り変わりが一日で体験できることは驚くことではありませんが、ケナリ(レンギョウ)と桜とツツジが同時に咲いているところもありました。
 蝶も鳥も花も、寒いのか暖かいのはっきりしない春に戸惑ったのでしょうか・・・。


 そう言えば、先日台湾から来日した知人も、東京で雪を体験出来てとても喜んでいました。
人間も戸惑っていたようです。


追記(4/30)
自然環境教育の専門家なかをさんに教えて戴きましたので、転載させて戴きます。
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ウグイスは,普通,繁殖期の終わる8月末まで鳴き通しです。都市部で春先しか聞けないのは,ウグイスが「漂鳥」で,さえずりが始まるとまもなく,里から山へと移動するため,とされています。東京だと4月上旬から移動が始まり,4月下旬になると,都心ではウグイスの声がしなくなる,と言うのが例年のパターンです。

 こちら我孫子では,平野部ですが,ウグイスは1年中います。なので,8月後半までホーホケキョが聞こえます。それと共に,ウグイスに托卵するホトトギスも,5月の連休ぐらいから,声を聞きます。
 ウグイスはなぜ,繁殖期終了までさえずる必要があるのか?これはウグイス独特の配偶システムに起因しています。ウグイスは変則的一夫多妻制で,オスは繁殖期になわばりを作り,さえずってメスを呼び,また,なわばりを守るわけですが,メスは自分の気に入ったオスのなわばりで卵を産みます。また,1シーズンに2回,産卵,子育てをします。このため,人気の高いオス,あるいは子育てしやすいなわばりを確保しているオスの元には複数のメスが子育てをし,メスによっては1回目の産卵と2回目の産卵で,違うオスのなわばりを選択する例もあります。こういう,気まぐれなメスを繋ぎとめておくために,オスたちは必死で,繁殖期間中はずっと,さえずりを続け,なわばりを争うと言うことになっています。
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ジャコウアゲハ,こちらでも少数派ですが,確実に生息しています。ジャコウアゲハは他のアゲハ類と違って,ウマノスズクサを食草として育ちます。この,ウマノスズクサのある無しや,生えている量によって,かなり厳しく生息数が制限されています。ウマノスズクサって,普通,あまり見かけませんよね。
 こちらではウマノスズクサの主要な自生場所は,利根川などの河川敷とか,谷津田の畦などです。東京だと,大きい川の河川敷ぐらいしか,ウマノスズクサの生えそうな場所がありませんから,数が少ない,と言うわけです。
 蝶の世界は,もうちょっと複雑で,環境的な「制限要因」が外れると,どんどん増えると言う,虫の世界のセオリーは,もちろん適用されるのですが,例えば,たまたま暖かかった年には早く発生したけれど,また翌年には寒くて……と言った気候変動にも影響されるわけです。
 いちいち気候変化に追従していたら,大きく気候がブレたときに全滅してしまう危険もあります。 ところが昆虫は,ある程度ばらついた特性を持った集団が「個体群」として生きているので,そのばらつきのおかげで,環境が変化しても一部の個体が生き残る。そして,その変化した環境が何年か維持されれば,生き残ったグループから,新たな個体群が形成される。その個体群の中では,再び「ばらつき」が拡大してゆく……そんなことを繰り返しながら「種」として生き延びているわけです。
 物理的な環境が変われば,生態系も,それに合わせたバランスの取れてポイントに落ち着く方向に動く,と言う流れですね。 だから,1年,2年の単位ではなく,もっと長いスパンで観察してゆく必要もあるわけです。しかも,人間の活動によって新たな種が持ち込まれたりします。
 蝶の世界では,マニアが勝手に分布外の土地に蝶を放す例も少なくありませんので,生態学だけで説明の出来ない事態が,しばしば起こります。韓国でポピュラーなホソオチョウが,何故か甲府盆地に定着して分布拡大しています。マニアが持ち込んで放したものだと言う話です。このホソオチョウの食草が……ジャコウアゲハと同じ,ウマノスズクサなのです。つまり,ジャコウアゲハとの競合が強く懸念される。
 今後,こう言う問題も,あちこちで出て来ると思いますので,自然環境の「今」を,丁寧に観察し,記録に留めておくことは,将来のためにも,とても重要なことです。
 専門家の観察では,観察者の数が限られているから,こう言うものこそ,市民の目線で,市民の力を活用して欲しいと思います。

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参考
なかをさんのサイト
http://www.asahi-net.or.jp/~ep3n-kizm/

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