見えない「賞」

"prize" it isn't possible to judge from eyes.
 韓国の科学祝典への参加は2年目になりましたが、初めて「ストローアート」で出展しました。昨年は浮沈子で初めて出展させて戴き、今年は主催者からストローアートへのオファーがありましたので、「グラスマーカー兼パペット」のテーマを選びました。それというのも、開催地が恐竜の足跡化石で有名な麗水(ヨス)だったので、鳥と恐竜の共通点などを自ら造形することによって興味を深める機会にして欲しいと考えたからでした。
 絶版になった「親子で作るストロー細工どうぶつたち」も自由に閲覧して貰えるように作品などと並べておいたのですが、日本語の本なので日本語で話しかけて下さる方も時々あり、本を入手したいと質問される方が随分ありました。
 写真は比較的余裕のある時に写したものですが、ずっと体験者が絶えることがなく、5席しかないのに後ろにも人が並んだり鋏を融通しあったりされてバタバタした後、気が付くと近作の鯉と亀が見えなくなっていました。まだ日本でも実物は殆ど見て戴く機会がないものを、「風の絵師」と亀甲船(コボク船)が私に創作意欲をくれた韓国で、自国に先駆けて公開したのにと残念に思います。
 韓国の人のマナーが悪いというのではなく、私の作品は珍しくて小さいものが多いので、日本でも何度も持って行かれました。書店のワークショップではPSのブレスレット。サイエンスフェスタではデザイン浮沈子が無くなりましたし、生涯学習のイベントでは「ウズラ卵に入った恐竜の赤ちゃん」が居なくなってしまいました。ストローという安価な材料なので罪悪感が少ないのだろうと思いますが、一つの作品が完成するまでには、多くの試行錯誤の時間がかかっていることや、見ることが出来ない他の人のことを思いやれない行為だと思います。
 持って行かれる可能性はあるのを知っていても、私はプラスチック・デイリーアートは手にとってその重みを感じたり、揺らしてみたり、実用的に使ったりすることが出来るスキンシップのアートだと思っています。
 私の作品が盗りたくなるほど魅力があったことは、目に見えない「賞」を戴いたと思うことにしているのです。 

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